Q5具体的な相談はないけど、なんとなくモヤモヤした気持ちのときは??
A気心の知れた話しやすい人に、少しずつでいいので思っていることを打ち明けてみてください。
病気でなくても、漠然とした将来の不安、人間関係や日常生活の悩みを持っているものですから、大きな病気にかかったら、もっとモヤモヤした気持ちになるのも当然です。とは言っても、誰かに相談しても解決できないと思ってしまうこともありますよね。具体的に何かを相談したいわけでもない、何を話したらいいのかもわからない人も多いのではないかと思います。「相談窓口」はたくさんありますが、初めて会う人にいきなり相談するのもハードルは高いかもしれません。
そんなときは、恋人、お友だち、ごきょうだいなど、話しやすい人に愚痴や今の気持ちを打ち明けてみてはどうでしょう。モヤモヤとしたいろいろな気持ちがごちゃごちゃしてうまく整理できていなくても、具体的な相談がなくても、精神腫瘍科の先生も、看護師も、がん相談支援センターや支援団体の相談員も、あなたと一緒に考えたいと思っています。話してみると、モヤモヤの姿や正体が少し見えてきて、晴れ間が出てくることもあるかもしれませんし、解決の糸口が見つかることもあるものです。
- 答えた人
- ソーシャルワーカー、社会福祉士・精神保健福祉士 樋口 明子さん
体験者エピソード
体験談は、あくまでその方個人の感想・体験です。すべての人に当てはまるものではありません。年齢・地域は取材当時のものです。
ブログで病気の様子などを発信することで、気持ちがシャキッとしました
【花木 裕介さん(39歳)発症38歳/中咽頭がん】
闘病にあたり、ブログを開設して治療の様子や気持ちを発信していました。病気を公表することには勇気も必要でしたが、いざオープンにしてしまえば、多くの人が味方になってくれて、仲間や職場の同僚、親せきなど周囲の人たちに支えられていることを実感できました。気持ちや情報を共有できることで、頑張れたところもあったと思います。宣言効果というのか、「全力で治療していきます!」と言えば、本当にやらなきゃという気持ちになり、シャキッと前を向けるようになっていきました。
誰かに相談しなくても自分で解決できる人もいる
【古谷 浩さん(43歳)発症31歳/性腺外胚細胞腫】
よく、がん患者さんを励ますときに「我慢せず相談しよう」「前向きにがんばろう」などと言いますが、僕は落ち込むことは少なかったですし、人に相談する必要もあまり感じませんでした。患者会をやっていても来ない人は来ません。その人には必要ないんです。インターネットなどを見て自分で解決する人もいるんです。
相談まではしなくても、インターネットの情報や体験談などを見て、「こういう人がいるんだ」「僕と一緒だ」とか、「こういうタイプの人がいるんだ」とか、そういうのを知ることができるだけでもいいのかなと思います。
相談したくなくても、前向きになれず落ち込んでいてもいいんです。そういう気持ちを捨て去ろうとせず、悩みや不安を抱えていることも含めて自分だと思ってもらいたいです。
- 監修:がん研有明病院 腫瘍精神科 部長 清水 研 先生
2024年2月更新