Q4親との関係性に悩んだときは?

A「がん相談支援センター」の相談員がより良い方法を一緒に考えます。

AYA世代の患者さんの特有の悩みとして、「親からの自立」や「親に迷惑や心配をかけたくない」という相談があります。既に親御さんと別居されている人であれば、病気のことをどのように伝えようか悩むこともあります。

私たち医療者は、できるだけ本人の意思を尊重したいと考えています。ただし、親御さんの「想い」も無視することはできません。

親御さんと意見が違ったり、話し合っても折り合いがつかなかったりするときには、話し合いの場を設けたり、場合によっては相談員がそこに同席できることがあるかもしれません。自分はどうしたいのか、この先どんな制度が利用できるのか、自分の決定に責任が持てるのかどうかなどを一緒に整理していくこともできます。

答えた人
国立がん研究センター中央病院 相談支援センター 宮田 佳代子さん

体験者エピソード

体験談は、あくまでその方個人の感想・体験です。すべての人に当てはまるものではありません。年齢・地域は取材当時のものです。

小磯 朋子さん

時間はかかりましたが、本音を話したことでお互いの気持ちを理解できるように

【小磯 朋子さん(32歳)発症告24歳/子宮頸がん】

がんが治ったあとも前向きにはなれず、「元気になったのだから仕事をしたら」という家族からの言葉も圧力をかけられているように感じていました。ある日、何気ない母のひと言にとても傷ついて、家族と一切関わりを持たずに引きこもるようになってしまいました。

本当は大好きなお母さん、だからこそ自分の思いが伝わらずに苦しかったです。いつも近くにいるからこそ素直になれませんでした。素直になること…簡単そうで一番難しい。話し合いにもっていくまでに苦悩するのです。

その後、友人たちの働きかけや、お世話になった看護師さんに相談したことをきっかけに、母にも本音を伝えることができました。がんが再発したことで生きる意欲がなくなり、元気になったことが逆につらかったと打ち明けたとき、母は私を責めずに「そこまで追いつめてしまって、そんな気持ちに気づいてあげられなくてごめんね」と言葉を返してくれたのです。それを聞いて、私も「ごめんなさい」と素直になれました。

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永迫愛さん

がんになって初めて親に本音をぶつけることができた。今はより良い関係に

【永迫愛さん(33歳)発症31歳/子宮頸がん】

両親とはずっと仲がよかったのですが、両親の前で泣いたりわがままを言ったりしたことがなくて、私はいつも「いい子」でした。でも、がんになって治療がすごくつらくて、「もう抗がん剤治療はしたくない!入院もしない!」と初めて大泣きして、本音をぶつけることができたんです。

両親は、私が本当にいやならもう治療をしなくていいと言ってくれました。でも本当は、治療をしてほしい、生きてほしいと思っていることがわかったので、その後は「両親のためにも、何としても治療をやり遂げよう」と思えたし、両親も全力で支えてくれました。

今は離れて暮らしていますが、がんになる前よりよい関係が築けていると思っています。

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  • 監修:がん研有明病院 腫瘍精神科 部長 清水 研 先生

2024年2月更新