Q2治療のために働けなくなったり収入が減ってしまった際に、利用できる制度や相談窓口はありますか?

Aさまざまな制度がありますから、まずは「がん相談支援センター」で聞いてみましょう。

手当や生活費の相談も、がん相談支援センターで受け付けています。病気のために働けなくなった場合には、傷病手当金が受けられる場合があります。傷病手当金については、勤務先の制度や保険内容、雇用形態などによって異なりますので、会社や健康保険組合に確認してください。

障害年金や身体障害者手帳の対象となる場合もありますし、自治体によっては若年のがん患者さんへの支援制度もあります。住んでいる地域の行政窓口に確認してみると良いでしょう。

答えた人
国立がん研究センター中央病院 相談支援センター 宮田 佳代子さん

体験者エピソード

体験談は、あくまでその方個人の感想・体験です。すべての人に当てはまるものではありません。年齢・地域は取材当時のものです。

高橋尚希さん

少しでも収入を得ておきたくて、相談窓口や利用できる制度を自ら積極的に探した

【高橋尚希さん(31歳)発症26歳/肺がん】

私は実家で両親と暮らしていて、治療費や生活面も両親にサポートしてもらっています。でも、30歳にもなって両親に負担をかけている部分を少しでも何とかしたかったので、自分の収入を補える制度についてはかなり調べました。

傷病手当金のことは職場から教えてもらいました。その後、退職することになったので傷病手当金の受給はなくなりましたが、そのタイミングで脳へのがんの転移が見つかったため、今は障害年金を受給することができています。ただ、障害年金の申請は脳転移の治療をしながら行わなくてはならず、ソーシャルワーカーさんや社会保険労務士さんに手伝ってもらいましたし、申請から支給までに6ヵ月もかかったので、傷病手当金が切れ、障害年金を受給するまでの間は貯金を切り崩して生活しました。利用できる制度があっても受給できるまでに時間がかかるものもあります。早めに調べて、早めに申請しておくことが必要です。

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岡本拓磨さん

さまざまな制度や仕組みはあるけれど、自分から積極的に探さなければ情報は手に入らなかった

【岡本拓磨さん(29歳)発症28歳/食道胃接合部がん】

最初はやはり「働けない間の給料はどうなるのかな」とか、「抗がん剤治療に毎月どれぐらいお金がかかるんだろうか」など、漠然としたお金の不安がありました。病院のソーシャルワーカーさんから医療費の自己負担を軽くする高額療養費制度や傷病手当金などの医療費助成制度について教えてもらい、徐々に不安は軽くなっていきました。

また、僕の場合はがんが転移した肩の骨を人工骨頭に置き換える手術をしているので障害年金が受給できるかもしれないということを、たまたま妻の職場の社会保険労務士(社労士)さんから教えてもらいました。

障害年金のことはそのとき初めて知りましたので、社労士さんの助言がなければ申請もしていなかったと思います。自分で調べたり、ソーシャルワーカーに相談したりして、使える制度をうまく活用することが大事だと思います。

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  • 監修:がん研有明病院 腫瘍精神科 部長 清水 研 先生

2024年2月更新