Q3キャリアを維持するためにはどうすればいいですか?

Aキャリアの再構築の時期ととらえてみてはいかがでしょうか。

まず主治医に、今の身体の状態を確認しましょう。体調不調が続く場合は今後どのぐらいで改善するか、またどのような働き方が理想的かを確認してみましょう。

体調によって、キャリアの維持が難しくなる場合もあります。その場合は、キャリアの再構築を考える時期ととらえてみてはいかがでしょうか。体力が安定した際に、同じ職場、または転職などでキャリアの再構築も考えられます。

がんになったことが障害になることもありますが、病気と向き合っていくことは、自分自身の新たな能力や人間的な魅力につながるはずです。

答えた人
国立がん研究センター中央病院 相談支援センター 宮田 佳代子さん

関連ファイル がん情報サービス「がんの冊子 がんと仕事のQ&A(第3版)」Web版
(閲覧日:2024年2月1日)

体験者エピソード

体験談は、あくまでその方個人の感想・体験です。すべての人に当てはまるものではありません。年齢・地域は取材当時のものです。

保坂翔大さん

人生の休み時間だと考えて新しいことに挑戦。新しい目標を見つけました。

【保坂翔大さん(33歳)発症告27歳/急性骨髄性白血病】

ずっと一生懸命に仕事に打ち込んできたので、仕事をしていない自分への違和感が強かった時期もありました。病気になる前と同じように働けないことが申し訳なく思えて会社も退職しました。

入院中は、今は人生の休み時間だと前向きに捉えて、いくつか新しいことに挑戦しました。そのなかで軽い気持ちで始めたレザークラフトに惹かれ、元々、モノづくりが好きなこともあり、退院後に本格的に習い始めました。再発して2度目に入院したときには、病室でデザインなどの専門書を読んで勉強しました。今もまだ修行中ですが、いずれこれを仕事にしたいと考えています。

ありがたいことに家族は、「退院してから5年は支えるから仕事の心配はせず治すことに集中して」と言ってくれるので、その間にレザークラフト職人として独立できる技術を身につけるつもりです。

家族の理解があってこその挑戦ですが、病気になったことがきっかけで見つけた夢を実現させたいと思っています。

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古谷 浩さん

退職後、通信制の大学に入学。仕事ができなかった期間をうまく利用して卒業し、新たな目標ができた

【古谷浩さん(43歳)発症31歳/性腺外胚細胞腫】

僕は患者会ピアサポートをやらせてもらったことがきっかけで、「人のこころ」についての勉強をしたいと思うようになりました。車椅子になって仕事を辞めることになった後も、体力がなく、次の仕事に就くことができない状態だったので、通信制の大学に入って心理の勉強をすることにしたんです。仕事をしていなかった1、2年生の間にがんばって単位をたくさん取って、3、4年生は余裕のあるスケジュールで仕事をしながら、なんとか4年で卒業することができました。がん患者さんの役に立てるような心理臨床家になるのが、今の僕の目標です。

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西口 洋平さん

これまでと同じように働けなくても、今までの経験や考え方を伝えることで会社に貢献したいと考えた

【西口洋平さん(37歳)発症35歳/胆管がん】

僕がこういう状況だということを伝えた上で働かせてくれているということは、多分違う役割があるんだろうと勝手にポジティブに捉えたんです。そこで、今まで経験してきたことを、例えば、会社や部署に新しく入ってきた人たちに何かを伝えられることはないのか、短時間で物事を進められるように考えなきゃいけなかったので、その考えたものを何か伝えられないかなど、組織やチームに対して何かフィードバックできないかと考えるようになりました。

それが僕自身の具体的な評価につながるかどうかは全く別で、収入のために仕事をやっているという発想ではなく、期待とか役割を担えているということに対してのありがたさを感じていました。これまでと同じように仕事ができなくなって収入も減ったけれど、それに対しての不満は全くなかったです。

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  • 監修:がん研有明病院 腫瘍精神科 部長 清水 研 先生

2024年2月更新