Q2妊よう性(子どもをつくる能力)を温存することはできますか?

A温存できる状況がどうかは人によって異なります。温存できないことや、温存しても子どもが持てないことも。

妊よう性(子どもをつくる能力)を温存できる状況かどうかは、ご自身の今現在の生殖機能やがんの種類、治療法によっても違いますし、非常に個別性が高い相談です。具体的にご自身の場合がどうかを知りたいときは、まず主治医に相談してみましょう。

ただし、治療開始までの時間は限られることもありますし、卵子や精子の冷凍保存には費用がかかります。また、温存しても必ずしも子どもが持てるわけではないので、まずは気になったら相談してみましょう。がん相談支援センターでは、がん治療と生殖治療の両方に詳しい医師を紹介してもらえる場合もあります。

答えた人
国立がん研究センター中央病院 相談支援センター 宮田 佳代子さん

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体験者エピソード

保坂翔大さん

AYA世代には重要な問題。妊よう性について考えるのが常識になってほしい。

【保坂翔大さん(33歳)発症・告知27歳/急性骨髄性白血病】

主治医から妊よう性の温存について説明を受けたのは1回目の抗がん剤治療を受けたあとでした。

自分の命について考えるのが精一杯のときに、妊よう性温存や将来の子どものことを考えるのは難しいと思います。僕は先生に言われるまで考えもしませんでしたし、先生でさえも「抗がん剤治療をする前に気づけばよかった」と言うほど切羽詰まった状況だったようです。

若くしてがんになったら、まず妊よう性について考えるのが常識になったら良いですね。精子保存の方法、登録や更新のシステム、そして費用についても、すぐに情報にアクセスできるようにする必要があると思います。

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岡本 拓磨さん

妻のおかげで精子凍結のことを知り、将来の選択肢を残すことができた

【岡本拓磨さん(29歳)発症・告知 28歳/食道胃接合部がん】

僕には妊よう性温存に関する知識も意識も全くなかったのですが、妻がインターネットで調べて精子の凍結保存を提案してくれました。生殖機能はデリケートなことなので、中には抵抗を感じる人もいるかもしれませんが、僕は子どもが欲しいと思っていたのですぐに凍結保存を決めました。でも、もし独身だったら知識がなく、保存できなかったかもしれません。精子の凍結保存で将来子どもを持つ可能性を残すことができてよかったと思っています。

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古谷 浩さん

精子凍結しなかったことは結婚後に後悔

【古谷浩さん(43歳)発症・告知31歳/性腺外胚細胞腫】

抗がん剤治療を始める前に先生から、妊よう性(子どもをつくる能力)が失われることがあるから精子の凍結保存をするかどうか聞かれましたが、断ってしまったことを今とても後悔しています。

そのときは、恋人もいないし、結婚もまだしていないのに、子どもを持つかどうかなんでずっとずっと先の話だと思っていました。「がん」と言われて実際、生きるか死ぬかも分からないし、治るかどうかも分からないし、将来の子どものことまで想像できなくて、「いいです」と言ってしまったんです。

でもその後、治療が終わって、僕は結婚しました。妻は病気のことも子どもを作れないこともすべて分かってくれていますが、妻のことを考えると凍結保存をしなかったことはとても後悔しています。先のことはわからないので、できることがあるなら試してみてほしいです。僕は一度は子どもを持つことをあきらめましたが、これから不妊治療に挑むつもりです。

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  • 監修:国立がん研究センター中央病院 清水 研 先生