Q8他のAYA世代のがん患者さんやがん経験者の話が聞きたいときは?
Aソーシャルワーカーから、AYA世代を対象とした患者会や話が合いそうな方を紹介することもできます。
インターネットで検索すればたくさんの情報がありますが、一人ひとり違う具体的な悩み、例えば「泊りがけの旅行のとき、ウィッグはどうしてる?」「好きになった人に、どう話してる?」などは、同じような経験がある方の話が役に立つことがあります。他のAYA世代のがん患者さんや経験者と交流したいときは、AYA世代を対象とした患者会に参加してみてもいいですし、相談いただいたときには、ソーシャルワーカーが紹介することもあります。
同じ世代で全く同じ病気の人や、似たような悩みを抱えている人と出会えないこともありますが、何気ないおしゃべりができたり、気軽に愚痴をこぼすだけでも、気持ちが前向きになったり、悩みの解決策を見出せたりすることもあります。
- 答えた人
- ソーシャルワーカー、社会福祉士・精神保健福祉士 樋口 明子さん
体験者エピソード
体験談は、あくまでその方個人の感想・体験です。すべての人に当てはまるものではありません。年齢・地域は取材当時のものです。
愚痴を言い合っても最後はポジティブに。患者や家族のためのサークルなどで、みんなの明るさに救われました
【柴 美穂さん(27歳)発症告20歳/慢性骨髄性白血病】
発病当時はまだ20歳。同年代の友人に「がん」という重い話を聞かせて、相手を悩ませてしまっては申し訳ないという気持ちが先に立ち、相談することはできませんでした。そんな中で心の支えになったのが、CML(慢性骨髄性白血病)の患者やその家族がSNSでつながるサークル「Team CML @Japan」のオフ会や、CML患者・家族の会「いずみの会」を通しての、同じ病気を持っている人たちとの交流です。
最初はたわいない話をしているのですが、そのうちに「何で自分たちが病気になったんだろうね」と、本音トークに。でもだんだんと、「健康診断は年1回が一般的だけど、私たちは頻繁に通院して採血しているから、他の人に比べて病気が見つかりやすいよね」とか、「病気になったからこそみんなと出会えたね」「視野が広がったね」など、病気になって悪いことばかりではないという流れになり、最後は「深刻になり過ぎず、軽く病気と付き合っていけばいいか」と、ポジティブに終わるのが定番です。同じ病気を持つ人たちが明るく、前向きに生活していることを知って勇気をもらいましたし、世界が広がったと感じています。
同世代と話ができる患者会は大切。友達とお喋りするのが目的でした。
【米井 慶太郎さん(17歳)発症16歳/小児慢性骨髄性白血病】
患者会には、母が情報収集のために参加していました。
僕が参加したのは移植後だったので、こちらが相談や情報収集をするより、これから移植に臨む患者さんの相談に乗る側でした。同じ病気を抱える人が顔をあわせて話をする場所はとても大切ですよね。がんという病気は若い患者が少ないので、同じ世代で同じ境遇の人と話せたのはすごくよかったです。
患者会で話すのは、病気の話に限りません。学校のこと、進路のこと、これからの人生のこと。僕らの年代が友だち同士で喋ることでも、同じ病気を抱える相手のほうが話しやすいことはあります。逆に、同じ病気の大人の方と話したり、僕よりも年下の患者さんの保護者の方の相談に乗ったことも、勉強になったと僕は感じています。
患者会で多くの「先輩」の話を聞けて、将来の選択肢が増えました
【小磯 朋子さん(32歳)発症24歳/子宮頸がん】
がん相談支援センターで女性特有のがんの患者会を紹介してもらい、最初に足を運んだとき、そこにいる人たちはとてもキラキラして見えました。「この人たちは本当に病気をしたのだろうか」と思うほど、みんなすごくステキで、元気でした。当時の私は気持ちがどん底にまで落ち込んでいたので、「自分はそこには行けない」と思ってしまいました。しかし、その後、なんとか元気になりたいと考えて、再度参加することを決意。そのときは自分もメイクやオシャレに気を使って、気持ちを高めて行くことができました。患者会は、同世代で悩みを打ち明け合うだけでなく、先に経験された先輩方の話も聞くことができる場です。私たちの先を歩く先輩方の体験から、将来の選択肢がたくさんあると知ることができたのは、自分にとって大きな強みになっています。
- 監修:がん研有明病院 腫瘍精神科 部長 清水 研 先生
2024年2月更新