AYA座談会

テーマ①
就職(転職)活動でがんの病歴を伝えるかどうか~

(座談会開催日:2018年10月15日)

宮田さん

宮田今、僕は大学の博士課程に在学していて、来年は就職活動なんですが、がんサバイバーが会社に受け入れてもらえるのか不安があります。罹患してから就職や転職した方の経験を聞きたいです。

植田僕は高卒で就職して1年半ぐらいで病気が見つかりました。それからも1年半は同じ職場で働いていたんですが、休みが少ない仕事で体力的にしんどかったので退職しました。その後、アルバイトぐらいで就職せずにいたときに、地域のスポーツ振興に取り組むNPO法人の仕事を紹介してもらいました。

岸田へぇ!誰に紹介してもらったんですか?

植田中学校時代の部活の顧問です。その先生、僕が会社を辞めたことを親を通して聞いたらしく、「今、仕事は探しているの?たくさんの収入ではないけれど、地元のために頑張ってみないか?」って。それで、半年くらいはアルバイトとして、他のアルバイトと掛け持ちしながら働いて、次の4月に社員に採用してもらいました。今、4年目です。

岸田ご縁って大事だね!

植田さん

植田そうです。でもそういうご縁って、人との繋がりがないと生まれないですよね。今の仕事で、介護予防の一環で、おじいちゃん、おばあちゃん向けの体操教室をやるんですが、参加する人は決まっています。参加しない人は僕らの体操教室だけじゃなく、たぶん他のどんなイベントにも出て行かない。その人たちは、人との繋がりが薄くなってしまうなって感じます。
がん患者も同じで、患者会でも他のイベントでも参加してみることが大事だと思うんです。そして、自分の状況をオープンに伝えて前向きにがんばっていると、助けてくれる人が現れます。「頑張れよ」という声援に応えるのは大変なときもあるけれど、期待されるから頑張れることもあると思います。人との繋がりがあれば、色々なチャンスがめぐってくるので、それを掴むのが大事なんです。
病気があってもできる仕事はたくさんあります。諦めたらダメです。

岸田僕も、患者会活動などを頑張っていたら、いろんなご縁があって今、国立がんセンターの広報など、がんに関わる仕事をさせてもらっています。

鳥井僕は人脈のまったくない状況で転職活動をしました。結果的に、がんの治験情報を発信するWebサイトの運営会社に就職しましたが、病気とは関係のない会社もいくつか受けました。
僕も植田さんと同じように、就職して1年半くらいで病気が見つかって、治療してから元の職場に復帰しました。外回りの営業の仕事だったので、復職後1ヶ月目は足を手術して大変だからと内勤に変えてもらい、2ヶ月目以降はだいぶ良くなったので元通りの仕事をしました。さらに1年半後、転職理由トップ5に入るようなことを私も感じ、別の仕事を探すことにしたんです(笑)。

宮田採用面接で病気のことは話したんですか?

鳥井さん

鳥井はい。僕は、「がんサバイバーが受け入れられるか実験だ!」と考えることにして、オープンに話しました。そういう気持ちで転職活動して気づいたのは、「がんです」って告白するだけじゃなくて、病気のことも治療のことも相手が理解できるように、しっかりと説明する必要があるということです。

岸田初めて会う人に理解してもらうためには、まず自分が勉強しないといけないよね。

鳥井こんな後遺症があるとか、治療中の人はこういう副作用が出るとか、きちんと説明して、配慮が必要ならハッキリ言う。配慮が要らない部分もハッキリさせる。僕は復職後に前の会社で1年半くらい働いていたので、それを実績として「普通に働けます」とアピールもしました。

宮田結果はどうだったんですか?

鳥井がんだと伝えて受けた会社が4社、そのうち3社から内定をもらいました。不採用になった1社は病気が原因かどうかはわかりません。ただ、その会社の面接では、病気について充分に説明し切れなかったんです。事前に病歴を書く書類があったので、そこに肉腫と書いたら、面接のときに「肉腫になったんですね。」って話にはなったんですけど、詳しく聞かれなかったので自分からは説明しなかったんですよ。なんとなく面接の手応えはあったんですが、結果は不採用でした。
もちろん僕の経験やスキルが足りなかったのかもしれません。でも、もし病気が原因だとしたらちゃんと説明できなかったのがいけなかったなって思います。とにかくちゃんと説明することが大事だと思いますね。

宮田じゃあ、話さないよりは、どんどん話して分かってもらうべきなんですね。

鳥井僕の場合はそれで成功しました。宮田さんは舌の一部を摘出して発話に後遺症があると思いますが、改善しているんですか?

宮田治療後しばらくは飲み物が飲めない、ご飯が食べられない、会話が出来ないという状態でしたが、地道にリハビリを続けることで少しずつ改善し、今では何でも飲めたり食べたりが出来るようにまでなりました。会話に関してはまだ満足いってませんが、最初の頃と比べると格段に話せるようになっています。

鳥井大変かもしれませんが、話す機会をいっぱい作るといいんじゃないですか。それで、これまでのリハビリの努力や、これからさらに改善が期待できることも伝えるといいと思います。術後コミュニケーション取るときは紙とペンが必要でしたが、今ではほぼ口頭で意思疎通が出来ますみたいな。
でも、電話の応対とかは難しいですよね?できないことは言わなくちゃいけない。

宮田確かに、面と向かって話す分にはそれほど問題はないのですが、電話やマイクなど機械を通してしまうと聞き取りにくさが増加してしまいます。あとは、数ヵ月に1度ある通院や、再発等の治療時の欠勤をどの程度まで許容していただけるかをお聞きしなければいけないと思っています。

座談会風景

鳥井でも、その代わりにできることを見つけておくといいと思いますよ。

宮田そうですね。ハンディキャップはあるものの、博士としての専門的な知識や技術やがんを経験して培った粘り強さはアピ―ルしていきたいです。

鳥井あと個人的には小さい会社も視野に入れてみても良いのではないかと思います。内定をもらった1社はベンチャー企業でした。選考は初回から社長面接だったので、がんとカミングアウトしてから採用まで話がトントン拍子で進みました。ただ、小さい会社は制度面で不十分であることは注意しないといけないです。

宮田そうなんですね。就職や転職に対する同世代の方々の考え方を聞けて勉強になりました。

  • 監修:国立がん研究センター中央病院 清水 研 先生