AYA座談会

テーマ②
恋愛に対して臆病になってしまう

(座談会開催日:2018年10月15日)

村井さん

村井 私はがんになってから恋愛するのが怖いんです。将来、結婚したとしても奥さんほど長生きできないかもしれないということが頭をよぎるんです。抗がん剤治療をやっているので、子どもが授かるかどうかもわからない。好きな人を幸せにできるのか?と考えると、人を好きになっていいのかな‥‥と迷ってしまうんです。

岸田 植田さんは結婚して子どもがいるんだよね。いつ結婚したのですか?

植田 がんに罹患した後です。話すと長くなるんだけど、白血病だとわかった時は、別の彼女がいたんです。でもお互い10代だったから、結婚とか子どもとか深く考えないし、病気のことも詳しく話しませんでした。
その後、今の妻とは僕が病気になったことがきっかけで再会しました。彼女は看護師になるための勉強中だったんです。それで僕が病気になったことを知って見舞いに来てくれてたんです。社会人だから病室でひとりじゃないですか。親が一緒に寝てくれるわけでもないですし。だから、見舞いに来てくれたことはありがたかったです。相談にのってもらって、僕のために勉強もしてくれて、で、結婚に至りました。

岸田 やっぱり医療従事者はわかってくれるよね。

植田 理解してもらえるから助かるということはたくさんありますね。

村井 普通のことだったら友だちに相談できるけど、病気のことや妊よう性のことがあるから難しいです。最近は、友だちが結婚したという話も増えてきて、幸せに暮らしてる人には余計に相談できないなって思います。
「もう治ったんだから、いいじゃん、付きあっても」って簡単に言う人がいるけど、先のことを考えてしまう私は、そんな気持ちにはなれない。

植田さん

柿本 がんは再発・転移があるからね。僕は27歳の大腸がんに始まって、毎年のように転移が見つかって、お金はかかるし、仕事はできないし。結婚して1年後に死にましたとなったら申し訳ないと思います。
僕、「気にせず付き合えばいい」と簡単に言ってきた人と、殴り合いの喧嘩したことがあります。でもね、今、彼女がいるんですよ。彼女もがんサバイバーで、患者会で知り合って相談にのっているうちに意気投合して。僕らは、結婚という形はとらないかもしれないけれど、一緒に人生を過ごすことはできるかなと思っています。

村井 自分のなかで気持ちの整理がつくのに時間がかかりそうな気がするんです。

     柿本 僕は、ここまで9年かかった。村井さんも、自分のタイミングで殻を破れたらいい。いつか「この人」と思う人が出てくるよ。今日、この会に参加して男同士で話ができたのも、ひとつ殻を破ったってことだと思う。焦る必要はないんじゃないかな。

岸田 植田さんの奥さんは看護師で、柿本さんの彼女はがんサバイバー。僕の奥さんも患者会で知り合ったがんサバイバーで、看護師の卵です。やっぱり病気について理解してもらいやすい人がいいって話になりそうですかね?

柿本 看護師さんって素敵な人が多くない? 30歳前後の入院患者って多くないから仲良くなったりもする。それと、僕が彼女と出会った患者会の女性メンバーも素敵な人が多いんだ。カップル成立8組目だと言われましたよ。
患者会で仲良くなって、みんなでご飯を食べに行って、そうしてるうちに、気の合う人が見つかるかもしれない。

岸田 宮田さんは気になる人は? 宮田さん

宮田 一緒にご飯を食べたりする友だちはいますけど。僕もそれ以上の関係を望んでいいのか悩んでしまいますね。自分よりもふさわしい相手がいるんじゃないかって。
27歳ともなると同年代の女性は結婚を考える時期ですよね。そんな大事な時期を奪うことになったら申し訳ないって思ってしまうと、友だちとして接するほうがいいのかなと。

岸田 そのお友だちは、がんのこと、知ってるんですか?

宮田 僕の場合は隠せないので。

鳥井 理解してくれているんなら、押してもいいんじゃない?

植田 既婚者としては「押してみよう!!」と言いたいです。

宮田 いや、それは、すぐには難しいです。でも、恋愛に気後れを感じるのが、自分だけじゃないとわかって、ちょっとホッとしました。

村井 真面目じゃなかったら良かったなって思いますね。病気のこと、この先のことまで調べて、考えて、臆病になってしまう。詳しく知らなければ、深く考えずにいられるのかなって。

宮田 そうですね。それは思います。

岸田さん

岸田 僕はその時その時で考えるタイプだから、恋愛している時は、その後子どもをつくるとかつくらないとか考えなかった。だって、いつ死ぬかわからないじゃないですか。だから、逆に今を楽しもうって思っています。そういう考え方だから、数年後には僕も悩まないといけないだろうけど…。

柿本 今を楽しむって考え方は大事だね。でも人それぞれ性格もあるから。僕ががんになって10年経って思うのは、こうやって話せる場が増えてきたことです。今日のように男性同士で話せる機会もすごくありがたい。でも、恋愛については、僕自身いまだに悩んでいる状態です。

座談会風景 植田 恋愛に関しても就職と同じで、知識のない人(異性)からすれば「深まる謎」ばかりで理解されにくいのだと思いますが、患者自身ががんに関する正しい知識を持って、説明できるようになれば信頼関係に繋がるのかなと思います。

  • 監修:国立がん研究センター中央病院 清水 研 先生